風上風下の語りの日々・・・
 
変わり者の管理人が送る、無駄な語りと呟きの日々・・・
 

AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


リハビリ長編
~説明~
復帰用の長編連載小説。


【リハビリ長編】宇宙(はて)なき夢のクレセリア:5

 森の香りを漂わせたその女性は、ドードリオの背で話を続ける非礼に気づくと静かに
地面へと飛び降る。
スタッと着地してから姿勢を正すと、その背丈が女性にしても低い部類であることが分かった。

「あれれ?」

旅の一行を一通り見直すと、多少面識のある人間がもう1人いることに気づいて
その人物を少し失礼と思いながらも、じっくりと見つめる。

「ニビジムリーダーのタケシさんですよね?!
お久しぶりです、私です、イエローです!!」

一瞬にして安堵の表情をすると、グッとテンションを上げて喜びを声に表す。
しかし、彼女こと“イエロー”に“タケシ”と呼ばれた細目の青年は、首を傾げて
逆にイエローをじっくりと見つめる。

今まで数々の街や場所をめぐり、仲間と旅を続けてきたが、彼女に関する思い出や記憶は一切無い。
今まで訪れた各町のジュンサーさんやジョーイさんたちとの思い出なら、
いくらでも思い出せるが本当に記憶の片隅にも存在しないものに関しては
どう頑張っても思い出しようがない。

「・・・失礼ですけど、どこかでお会いしましたか?」

「えっ・・・あの、ゴロすけにはいつもお世話になっています。」

そういって腰のボールホルダーからモンスターボールを取り出すと
頑丈な岩石の身体をもつ メガトンポケモン ゴローニャを呼び出した。

「おぉ、りっぱなゴローニャですね。」

タケシはブリーダーとしての目を光らせると、そのゴローニャの体つきや形状をじっくりと
観察する。
この非常に硬そうな岩石の質感は、特性が“がんじょう”なんだろうなぁ。とか
腕の太さからきっと、2つに割れた客船を掴んで維持できるんだろうなぁ。と思量する。
そんなタケシの言動に、イエローとゴロすけは思い切り違和感を覚える。

「あの、ゴロすけは、タケシさんに譲っていただいたゴローンが進化したポケモンで・・・」

「えっ?」

思わず変な声で聞き返してしまったタケシ。場にはなんだか妙な雰囲気が漂いだした。
タケシは2人の仲間に視線を向けて、“目の前の女性を知っているか?”と目で問いかけるが、それに対する返答は傾げられた首だけである。

“目の前の女性”は世間一般から見ても結構“かわいい”部類で、一度何か関連を持てば
その印象を完全に忘れ去ってしまうことの方が難しいだろう。
ここまでの“目の前の女性”の言動から導き出せる可能性はそんなに多くなく
熱狂的なファンか、それとも少し“アレ”な人か・・・。


「・・・・・・。」

「・・・・・・。」


両者に無言の時間が流れると、イエローの頭の中がグルグルと回りだした。
あの激闘,死闘の記憶と思い出たちがグルグル回る遠心力で崩れさっていく。
それと同時に自分自身の心も一緒に崩れ落ちるような感覚に陥る。

話に入ってこない残りの旅人2名と1匹も、なんともいえない空気に少し戸惑う。
少し、厄介なことになりそうだなと思いながら打開策を考える。

「えっと、あれ?・・・人違いかな??」

困ったような、それでいて悲しみを耐えているような表情を一瞬浮かべて、
イエローはボソっと呟いた。
その呟きは旅人たちの耳に入らずにそのまま風に消えると、その場の空気を一緒に連れ去ってくるようにと、パァッと明るい笑顔を浮かべて、自ら時間を動かし始める。

「ごめんなさい。私の知っている人に似ている人と一緒にいたので、ちょっと勘違いしてしまいました。」

「いやでも、自分はカントー地方の、ニビシティジムリーダーのタケシで間違いないですけど。」

「あぁいえ、隣町に住んでいたので、何度か街中で見たことがあったんです。」

「じゃあこのゴローニャは・・・?」

「別の“タケシ”さんに譲っていただきまして。」

旅人たちと1匹は、なんだか腑に落ちなかったが、とりあえず辻褄があったので内輪で納得しあうと、なんだかんだで人違いも1つの縁だと思い、探し人で困っているイエローの話を聞いてみることにした。

「“レッド”ていう人、オレに似てるの?」

旅人の1人、帽子の少年がイエローに問いかける。
イエローはその問いかけに対して即答するのではなく、じっくりと帽子の少年を見つめてから返答した。

「顔が似てるわけじゃないんですけど、全体の雰囲気とか、服装の感じが似てますね。」

にこにこ笑顔を絶やさずに話を続けるイエロー。
そんな笑顔の中でも、帽子の少年についてさらに何か気付いたことがあったようで
少し考えてからその推測を旅人たちに話した。


「もしかして、マサラタウンの出身じゃないですか?」


その一言に、帽子の少年はぎょっと驚いた。



4月6日(火)23:33 | トラックバック(18) | コメント(6) | リハビリ長編 | 管理

【リハビリ長編】宇宙(はて)なき夢のクレセリア:4

 場所は変わって、ここはシンオウ地方随一の科学研究都市 ユニバシティ。
テンガン山以西の中では、都市の規模としては大きいものの、人口密度は低く
(というよりも、人そのものが少ない。研究設備の充実からシティと呼ばれている。)
大半が研究設備と研究資材によって構成されている完全なる科学の為の都市だ。

そんな科学都市を訪れた3人と1匹の旅人たちは、これまでの旅の疲れを癒そうと
どこの町にも必ずあるポケモントレーナーとポケモンの為の休憩施設、ポケモンセンターを
タウンマップ片手に目指していた。

「それにしてもほとんどの人がメガネと白衣だな。」

「キマってないわけじゃないけど、オシャレな感じはしないよね。」

「科学者の町だから、仕方が無いのかもな。」


共に歩く ねずみポケモン ピカチュウがうんうんとうなづく。それもそのはず
いそいそと道行く大半の男性は度が強そうな黒縁メガネを掛けているか、少し汚れた
白衣を着用している。それも私道や敷地内ではなく、一般の公道でだ。

前述の通り“完全なる科学の為の都市”なので、逆に彼らのような旅人の方が実は異質。
多少小汚い研究員だらけなのは、別に不自然なことではない。
ただ、何も知らぬ旅人たちにとっては、これは驚くべきことである。

「虚量子回路の最適化演算なんだけど・・・」

「新金属精製の件で・・・」

「DNA解析と、局部利用の資料は・・・」

時より聞こえてくる全く“異次元の会話”に、旅人たちは顔を見合わせて苦笑いを浮かべる。
しかし、そんな“異次元の会話”から生まれ出るものに、現在の利便があることを考えると
自分たちが何だかちっぽけな存在に思えた。

そんな会話をときどき耳にしながら、無機質でどこか寂しい街を旅人たちが歩いていく。
周りの風景を見ながら歩いているので、その歩みは少し遅い。
忙しなさの中で別の時を歩むこの旅人たちこそ、この街に住むものからしてみれば
それこそ“異次元”の存在であっただろう。

「んっ・・・」

ふぅっと吹いた一陣のやわらかい風に巻き上げられた砂埃が、旅人の1人、帽子の少年の視界を一瞬遮る。
歩みを止め、2人と1匹に1人遅れをとりながら、目をこすって砂を目から取り除く。
目をぱちぱち瞬かせて、目に異常が無いことを確認すると遅れた分を取り戻すために
少し早足で2人と1匹を追いかける。

「・・・ん?? 誰か、来るぞ?!」

2人と1匹の1人、細目の青年が、100メートル程離れた先にいる人影が
こちらに向かってきていることに気付いた。
結構早いその移動速度と、騎乗した人影から、何かポケモンに乗ってこちらに
向かってきていることがよく分かる。
しかし、街中をポケモンに乗って疾走してくるとは・・・法規的、モラル的に少しよくない。

その迫る人影を止めようとする良識ある研究員が数人いたようだが、
疾走する勢いに圧倒されて誰一人それを止めることができない。
まるで、長年探し求めていたものを見つけたときのような勢いで
最早つっこんでくる人影に3人と1匹は驚きながらも身構えた。


「・・・レッドさん、縮みました?」


砂煙を上げ、3人と1匹の目前で絶妙なブレーキを決める みつごどりポケモン ドードリオの足。
そして、その乗り手の開口一番の質疑に、3人と1匹はとにかく何がなんだかよく解らない。
呆気に取られている旅人たちを尻目に、ドードリオの背から1匹のピカチュウがピョコリと降りてきた。

耳の辺りに小さな花でオシャレしているところを見ると、どうやら♀のピカチュウのようだ。
その♀のピカチュウは、旅人たちのピカチュウの前に行くと、その周りをクルクル回り
時より鼻をクンクンさせながら旅人たちのピカチュウを確認していく。

「・・・・・・。」

♀のピカチュウはあらかたピカチュウを確認し終えると、肩を落として落胆しながら
ドードリオの背中に戻って行った。旅人たちのピカチュウは、それをポケーっと見送る。

「あの~、なにがなんだか・・・??」

「すいません、私の知っている人によく似ていたので」

その声を聞いて初めて、ドードリオの背に乗っている人物が女性であることに
気付いた旅人たち。
金髪のポニーテールがふたたび吹いたやわらかい風になびくと
森の木々の香りがほのかに漂う。
やわらかく、あたたかな雰囲気を持った存在感は
旅人たち以上に“異次元”を感じさせた。



2月15日(月)00:02 | トラックバック(0) | コメント(0) | リハビリ長編 | 管理

【リハビリ長編】宇宙(はて)なき夢のクレセリア:3

「迷い人が来たってしょうがないニャ・・・」

“ラジオを流しながら移動”していたら、半裸の青年が現れた。
しかも話を聞く分には彼も迷い人のようで、迷い人が迷い人を呼び寄せてしまったようだ。

「う~ん・・・おかしいなぁ?」

半裸の青年は、青髪の男性の予備の服に袖を通しながらつぶやいた。
その表情は非常に渋く、何度も何度も首を左右に傾げ、現状に納得できていない様子。

「納得いかないのは分かるんだけどね。」

「オレたちも、ちょっと信じられない。」

一応、事情を聞いた2人も、同じように納得できていない。
しかしこの青年の澄んだ薄赤い瞳に、嘘の混じり気を感じ取ることはできない。
だから余計に青年の話した事情を疑いきれないのだ。

「オレ、確かに、カントー地方に居たはずなんだけどなぁ・・・?」

胸に大きく“R”の字がプリントされた青髪の男性の服はサイズがぴったりで
彼に少し似合っている。
似合った分だけ雰囲気が出てくると、なぜか2人の男女と一匹は妙な親近感を覚えた。
彼は青髪の男性に感謝の言葉を笑顔で告げると、頭の中で自分のこれまでを
もう一度振り返る。


久々の帰郷、そして仲間の両親がさらわれた。

追跡の最中に伝授された“究極の技”。

敗北と傷心、そして復活と再会。

因縁浅からぬトレーナーとの戦いに終止符を打ち

港町への被害を最小限に止めた。

そしてその後・・・・・・


「あ。」

間抜けな声を出すと、ふと自分の両腕に掛かっていた重量を思い出す。
何度か腕を動かして、自分が抱きかかえていた存在がいたことが明確になり始めたが
その前に明確にしておく必要があることに気がつく。

よくよく自分の服装と、2人の男女の服装を腕を動かしながら観察してみると
非常に見覚えのある“R”の字がこんなにも大きく表記されている。
何の因果かは知らないが、自分自身の記憶では終止符を打ってきたあのトレーナーと
この2人の男女と一匹は、何らかの繋がりがあるのではと直感した。

「ところで今更なんだけどさ、“アンタたち、いったい何者なんだ”?」

探りを入れる言い回しで、あくまでも事の核心は突かない質疑。
あのトレーナーとの繋がり云々も含めて、こんな森の中を軽装備で迷っているということは
自分自身の半裸でいきなり登場には及ばないが、実はなかなか珍しいことだ。

これは青年のこれまでの旅人としての経験が勘づかせたことで、迷う人間というのは
準備万端でも迷ってしまう真性の方向音痴を除いて、それなりの装備をしていながらも
何か大切な物を見落としているタイプが大半を占める。

見方を変えれば、“見てくれ”はそれなりの装備を整えている人間こそが迷う人間であり
彼らのように軽装備の人間が迷っていることはほとんど無い。
もし迷っているとすれば、生きる目的か自分自身を見失っている者だ。


「「「よくぞ聞いてくれました!」」」


そんな思量をしていた青年の、その思量を吹き飛ばしてしまうような
元気な3つの声が重なり合うと、2人と1匹はバシッとポーズを決める。


「“あんたたち何者だ?”と聞かれたら」

「答えてあげるが世の情け。」


突如始まった謎の名乗りに、青年は呆気にとられながら目の前で起こる出来事に注目する。
否応無しに釘付けとなった瞳をどこにも逃がさないように、完成された機敏な動きで次のポーズを決める。


「世界の破壊を防ぐ為」

「世界の平和を守る為」


再びポーズが変わると、自然とその動きに薄赤い瞳がつられる。
この間に残った1匹が最後の動作の下準備をしていることはあまり知られていない。

「愛と真実の“悪”を貫く」

「ラブリーチャーミーな敵役」

バッチリ決まる2人のポーズ。
完成された一挙手一投足からは自信から来る年季のを感じさせる。
そこには見る側の不安が存在していない。

「ムサシ」

「コジロウ」

「銀河をかけるロケット団の二人には」

「ホワイトホール白い明日が待ってるぜ!」

「ニャーんてニャ!」

飛び出した猫型ポケモン ニャースがこの一連の名乗りをしめると、そこには
シリアスと笑いが絶妙なブレンドで決まっていた。
遥か未来を指差す彼らの名乗りの背景には、どこからともなく現れた
原理不明のキラキラ輝くエフェクトが、しつこいくらいに目立っている。


「・・・こっちの方が、馴染み深いかな?」

「ホウエン地方まではこんな感じだったのよ。」

「今はちょっと違ってるニャ。」



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すいません、ネットが止まってました  by管理人



11月22日(日)21:34 | トラックバック(0) | コメント(0) | リハビリ長編 | 管理

【リハビリ長編】宇宙(はて)なき夢のクレセリア:2

薄暗い森をさまよう2人と1匹。ラジオからはずっと音声が流れ続けている。
こうしてラジオを流し続けるのは、集団行動時の沈黙によるストレス防止目的と
野生ポケモンとの遭遇率低下目的である。

好戦的な性格、性質をしたポケモンや、縄張意識の強いポケモンに対してだと
ラジオの音声が気に障るのか、逆に野生ポケモンに襲撃される可能性が出てきてしまうが
そういったポケモンは基本的には森林の中で暮らさない。

(山岳、特に岩山ような場所には、好戦的性格の代表例である格闘タイプのポケモンが。
 熱帯草原地域には、縄張意識の強い獣型のポケモンが多く住まう。こういった場所で
 必要以上に音をさせていると、問答無用で外敵とみなされる可能性が高い。)

森林には、鳥型、もしくは飛行タイプ、虫タイプ、小動物型のポケモンといったポケモンが
暮らしており(ただし地域によっては多少異なる場合もある。)
いづれも、音声に敏感でなかったり繁殖期でも無い限りは特定の音声(敵対的種族の鳴き声等)以外には基本的に無関心。
といった性質や性格をしたポケモンたちで構成されている。

よって、こうしてラジオを流しながら移動するというのは、長旅を続けるトレーナーにとっては
いたって基本的な知識であり、自然と上手く共生、共存していくた為の人間の知恵だ。

そしてもう1つ、こうして移動する目的がある。というよりも、これが1番重要な目的だ。
それは、自分の存在を周囲の別の人間に感知してもらう為である。

広大な自然のフィールドを数多く残すこの世界で、道に迷うことはしばしばあり
フィールドからの脱出に、他の人間の力が必要になることが数多い。
その為、冒険者や旅人の間では、“ラジオを流しながら移動”=“助けてくほしい”という
ルールがいつの間にか成立していた。

「誰も来てくれないニャ・・・。」

「ちょっとー、そんなヘコむようなこと言わないでよ」

猫型ポケモンがため息混じりに呟くと、長髪の女性が少しイラついて話す。


「まぁまぁ、誰か来てくれるって。」


1人と1匹をなだめる為に、根拠の無いことを言う男性。
“ラジオを流しながら移動”しているからといって、必ずしも助けてもらえるとは限らない。
あくまでもルールとして成立しているのは、“助けてほしい”という意図があるというだけで
確実に救助されるとは限らないのだ。



「「「・・・・・・はぁ。」」」



2人と1匹が同時に足を止めて、同時にため息を吐く。
当の本人たちは気付いていないが、そのあまりにもぴったりなタイミングからは
誰が見てもその付き合いの長さを想像させる。

止めていた足も2人と1匹は同時に次の一歩を踏み出す。
きっとこれまでもこうして歩みを続けてきたのだろう・・・。


ラジオの音声が堅苦しいニュースから芸能やスポーツへと移り変わり
そしてご当地情報に変わり、さらには天気予報へと変わった頃。
突然、ラジオに異常に大きいノイズが出始めた。

初めは、電波塔から離れ過ぎたのかと思っていたが、どうやらそうでは無いらしい。
徐々にそのノイズは酷くなり、最終的には音声が全く聞き取れなくなって
不快なガ行の機械音だけが流れ始めると、流石に2匹と1人も異常な事態だと気付く。


「ん? なんだ・・・?」

「壊れたの?」

「それにしたって様子がおかしいニャ」


ラジオを注視する2人と1匹。その瞬間、森の茂みからガサガサと音を立てて
1人の青年が姿を現した。




「ここ、カントーじゃないよな?」




ラジオの音声で無い、確かな人間の声に2人と1匹が声の主にいるほうへと振り向いた。
そこには上半身裸の黒髪短髪の青年が左手で後頭部を掻きながら、突っ立っている。




「「「シンオウ地方ですけど」」」




2人と1匹がまたもや同時に言葉を返した。しかし半裸の青年は、それでもあまり状況を
理解しきれていないといった感じで、後頭部を掻く手を止めなかった。

とんがり3つの少し特徴的な前髪と、ビンテージなのか少し怪しいジーンズと、ボールホルダー。
露出している上半身は、痩せてはいるが筋肉質で、所々に痛かったであろう傷跡。
この寒い北の大地で上半身裸という、不審者一歩手前の青年の登場に
2人と1匹はしばらくあっけに取られていた・・・。



11月6日(金)00:52 | トラックバック(0) | コメント(0) | リハビリ長編 | 管理

【リハビリ長編】宇宙(はて)なき夢のクレセリア:1

それは、時の竜の咆哮か。
それとも次元の竜の嘶きか。

闇夜の空がギリリと震えると、2つの光球がどこからともなく
まるでUFOのように現れた。


闇夜に輝く2つのUFOに驚いたムックルの親子が、バサバサピーピーと騒ぎ立てると
森のヤミカラスたちも同じように騒ぎ出し、さらにはムウマが怯えだして
あれよあれよと静かな森は連鎖的に、合唱隊へと姿を変える。

合唱隊の歌を聞く事もなく、2つのUFOは夜空に軌跡で絵画を描くと
互いに正反対の方角へと飛んでいった。
しばらくしてやっと森の合唱隊が歌うことを止めると、再び静かな闇夜が戻ってきた。

三日月はキラリと輝いて、子供のムックルに“良き夢”が見られるようにと、
遥か空の上で見守り続ける・・・。



竜が“嘶く”不思議な世界。
UFOが迷い込む不思議な闇夜。
三日月が見守る不思議な時間。
そこは遠き遠き北の大地。
まだ降雪していないシンオウの大地に、その晩2つUFOが姿を現し、そして消えた。




「・・・それでは次のニュースです。昨日ユニバシティで行われたユニバシティ研究所主催
 “第24回宇宙技術シンポジウム”において、ユニバシティ研究所の宇宙工学の権威で
知られる エキャプス博士が、特殊な鉱物を炉心へと利用した新型動力炉の完成を発表しました。
この新型動力炉には・・・・・・」


昼間なのに薄暗い森の中で、堅苦しい内容の音声がどこからか聞こえてくる。
その音質から判断するにこの音声はラジオから流れているもののようだ。しかも、若干音が安定
しない辺りこれは安物のラジオだろう。

音がする方に近づいてみると、そこには2人の男女と、1匹の猫型ポケモンが歩いている。
2人の服装はよく似ていて、動きやすい作業服のような服を着用している。
さらによくよく見てみると、後ろを歩く猫型ポケモンは4足歩行ではなく、前を歩く2人の男女と同じように
2本の足で器用に歩いてる。


「ここ、どこらへんなのかニャ・・・。」


ラジオの音声以外、人声が無かったこの2人と1匹の沈黙を破ったのは
最後尾を歩いていた猫型ポケモンだ。
どうやらこの猫型ポケモンは人語を話すらしい。


「うーん、ラジオが聞けてるあたり、そんなに街から離れた場所じゃないと思うんだけどなー」


やや青みがかった髪色をした2人の内の男が、猫型ポケモンへと言葉を返す。
どうやら猫型ポケモンの話す人語は、我々以外にもしっかりと聞き取れているようで
間違いなく猫型ポケモンは人語を話し、また人間と会話ができるようだ。


「もう半日位歩き続けてるけど、一向に森から抜けられないってのは結構しんどいわよねぇ」


ワインレッドに近い色をした長髪の女性は、その容姿から容易に想像できるようなことを
言い放つのかと思いきや、男の意見に同調する言葉を話す。
どうやらこういったことに相当場慣れしているようで、この程度のことは想定の範囲内だったようだ。



11月3日(火)02:22 | トラックバック(0) | コメント(0) | リハビリ長編 | 管理


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