風上風下の語りの日々・・・
 
変わり者の管理人が送る、無駄な語りと呟きの日々・・・
 

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【リハビリ長編】宇宙(はて)なき夢のクレセリア:2

薄暗い森をさまよう2人と1匹。ラジオからはずっと音声が流れ続けている。
こうしてラジオを流し続けるのは、集団行動時の沈黙によるストレス防止目的と
野生ポケモンとの遭遇率低下目的である。

好戦的な性格、性質をしたポケモンや、縄張意識の強いポケモンに対してだと
ラジオの音声が気に障るのか、逆に野生ポケモンに襲撃される可能性が出てきてしまうが
そういったポケモンは基本的には森林の中で暮らさない。

(山岳、特に岩山ような場所には、好戦的性格の代表例である格闘タイプのポケモンが。
 熱帯草原地域には、縄張意識の強い獣型のポケモンが多く住まう。こういった場所で
 必要以上に音をさせていると、問答無用で外敵とみなされる可能性が高い。)

森林には、鳥型、もしくは飛行タイプ、虫タイプ、小動物型のポケモンといったポケモンが
暮らしており(ただし地域によっては多少異なる場合もある。)
いづれも、音声に敏感でなかったり繁殖期でも無い限りは特定の音声(敵対的種族の鳴き声等)以外には基本的に無関心。
といった性質や性格をしたポケモンたちで構成されている。

よって、こうしてラジオを流しながら移動するというのは、長旅を続けるトレーナーにとっては
いたって基本的な知識であり、自然と上手く共生、共存していくた為の人間の知恵だ。

そしてもう1つ、こうして移動する目的がある。というよりも、これが1番重要な目的だ。
それは、自分の存在を周囲の別の人間に感知してもらう為である。

広大な自然のフィールドを数多く残すこの世界で、道に迷うことはしばしばあり
フィールドからの脱出に、他の人間の力が必要になることが数多い。
その為、冒険者や旅人の間では、“ラジオを流しながら移動”=“助けてくほしい”という
ルールがいつの間にか成立していた。

「誰も来てくれないニャ・・・。」

「ちょっとー、そんなヘコむようなこと言わないでよ」

猫型ポケモンがため息混じりに呟くと、長髪の女性が少しイラついて話す。


「まぁまぁ、誰か来てくれるって。」


1人と1匹をなだめる為に、根拠の無いことを言う男性。
“ラジオを流しながら移動”しているからといって、必ずしも助けてもらえるとは限らない。
あくまでもルールとして成立しているのは、“助けてほしい”という意図があるというだけで
確実に救助されるとは限らないのだ。



「「「・・・・・・はぁ。」」」



2人と1匹が同時に足を止めて、同時にため息を吐く。
当の本人たちは気付いていないが、そのあまりにもぴったりなタイミングからは
誰が見てもその付き合いの長さを想像させる。

止めていた足も2人と1匹は同時に次の一歩を踏み出す。
きっとこれまでもこうして歩みを続けてきたのだろう・・・。


ラジオの音声が堅苦しいニュースから芸能やスポーツへと移り変わり
そしてご当地情報に変わり、さらには天気予報へと変わった頃。
突然、ラジオに異常に大きいノイズが出始めた。

初めは、電波塔から離れ過ぎたのかと思っていたが、どうやらそうでは無いらしい。
徐々にそのノイズは酷くなり、最終的には音声が全く聞き取れなくなって
不快なガ行の機械音だけが流れ始めると、流石に2匹と1人も異常な事態だと気付く。


「ん? なんだ・・・?」

「壊れたの?」

「それにしたって様子がおかしいニャ」


ラジオを注視する2人と1匹。その瞬間、森の茂みからガサガサと音を立てて
1人の青年が姿を現した。




「ここ、カントーじゃないよな?」




ラジオの音声で無い、確かな人間の声に2人と1匹が声の主にいるほうへと振り向いた。
そこには上半身裸の黒髪短髪の青年が左手で後頭部を掻きながら、突っ立っている。




「「「シンオウ地方ですけど」」」




2人と1匹がまたもや同時に言葉を返した。しかし半裸の青年は、それでもあまり状況を
理解しきれていないといった感じで、後頭部を掻く手を止めなかった。

とんがり3つの少し特徴的な前髪と、ビンテージなのか少し怪しいジーンズと、ボールホルダー。
露出している上半身は、痩せてはいるが筋肉質で、所々に痛かったであろう傷跡。
この寒い北の大地で上半身裸という、不審者一歩手前の青年の登場に
2人と1匹はしばらくあっけに取られていた・・・。



11月6日(金)00:52 | コメント(0) | リハビリ長編 | 管理

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